SECURITY SHOW 2000のレポート
防犯機器・システムを野生動物の調査研究へ応用
レポート 藤村正樹(有限会社アウトバック・代表取締役)
2000年2月29日〜3月3日まで、東京国際展示場・東京ビッグサイトにおいて、第8回"SECURITY
SHOW
2000"(日経新聞社主催)が開催されています。主な展示内容は、CCTV関連製品、監視用映像機器・システム、画像処理・電送装置・システム、入退室管理システム、個人識別システム、一般防犯機器、護身具、情報ネットセキュリティ、防災用品などです。特にCCTV関連製品や、インターネットや通信回線などのネットワークを利用したシステムに、多くの企業が力を入れていました。もちろん、対象は人間と人間社会であり、鳥獣被害防除・対策を対象とした製品やシステムは、見た限りでは一つもありませんでした。ただし、どれもかなり高度な水準に達しており、野生鳥獣の調査や研究、被害対策・防除にも応用できるものがたくさん見受けられました。それらのなかから、いくつかの製品やシステムについてレポートします。
目次
・ワイヤレス・映像機器/システム
・非冷却型赤外線暗視カメラ
・ケーブルリモコン付スポットライト
・屋外防雨型超小型カメラ
・防滴使用カラーCCDカメラ
・モノクロ/カラー自動切り替えカメラ
・NikonフィールドイメージシステムMX
・米国軍採用の暗視スコープ
・画像処理センサー・システム
・WWW用映像発信システム、遠隔モニタリングシステム
・その他
(送信機内蔵)超ミニ監視カメラ + 受信機超ミニ監視カメラをバンパーに取り付けたラジコンカーを走らせ、受信した映像をモニターに移すというデモを行っていました。たとえば、ラジコンのヘリコプターにこの超ミニ監視カメラを取り付け、デントコーン畑の被害状況を空中から観察することも可能です。
<ワイヤレス・カラー監視カメラ>
・映像信号を1chで送信・受信
・微弱電波出力、前方向アンテナ装備
・撮像素子に25万画素CMOS(1/3インチ)使用
・消費電力 DC4.8~7V、140mA
・ピンホールレンズ型寸法 15×22×32mm、重量約8g
・ボードカメラレンズ型寸法 15×22×32mm、重量約8g
・送信距離 約20m(ただし、中継局を置けば距離が伸ばせるそうです)
<受信機>
・RCA入出力プラグ(映像をビデもテープに録画可能)
数社から赤外線暗視カメラが展示されていました。高価なものですが、持ち運び可能な(8ミリカメラを一回り大きくしたサイズ)ものもあり、夜間や薄暗がりでの調査や、密猟の監視にも威力を発揮できそうです。
<ハンディ型赤外線暗視カメラ>
・高解像度(320〜240pixels>
・FORCUS調整可(3m〜無限大)
・生活防水
・バッテリー4時間駆動
<ハンディ型サーモグラフィー>
・高解像度(320〜240pixels>
・FORCUS調整可(3m〜無限大)
・温度分解能 100m
・8MBコンパクトフラッシュメモリ付き(60画像メモり可能)
・2.5インチLCDディスプレイ装備
・バッテリー2時間駆動
強力な吸盤で車のボンネットや屋根に取り付け、ワイヤーリモコン(10m)で車内からライトを左右370度回転、上下120度首振り可能。電源は12V(シガープラグ接続)、100,000カンデラの明るさです。
価格は20000円〜23000円。
壁や柱などに取り付けるタイプです。電源が近くに必要ですが、防雨設計なので、屋外に設置して野生動物の移動や侵入の監視に使えます。しかも、白黒赤外線付のタイプであれば、0 luxの漆黒の闇の中でも撮影が可能です。赤外光の距離は6m。
・撮影素子 1/3インチCCD
・解像度 410TV 本
・映像出力 1Vp-p/75 Ohms
・音声出力 ラインレベル(-5dBm)
・集音マイク 無指向コンデンサー
・入力電源 11-16V DC
・動作温度 -20度〜50度
・消費電力 400mA
・寸法 63×69×114
・重量 1190g
室内・屋外兼用の防滴使用CCDカメラ。
防水ではありませんが、かなりの水圧でも大丈夫だとのことです。
DSP(デジタル信号処理)方式の採用でシャープな画像が得られる。
カラー画像だと明るい照度が必要なので、夜間監視カメラのほとんどはモノクロです。あるメーカーでは照度のよって自動的にカラーからモノクロ、モノクロからカラーに画像が切り替わるCCDカメラを製造しています。
防水ハウジングに入れておけば、屋外に設置しても、撮影に支障がないです。
ニコンのブースで見かけた新製品です。
ニコン・フィールドスコープに取り付け可能なCCDカメラで、専用の液晶小型モニターを三脚に取り付けたり、外部モニターに映像を映せば、野鳥や動物の観察会で好評間違いなし。もちろん、付属レンズやニコン一眼レフカメラ用レンズを装着すれば、CCDカメラ単体としても利用できます。
希望小売価格 100000円(CCDカメラ、ACアダプター、液晶モニター、ACアダプター、ビデオ信号コード、付属レンズ、クリップ雲台アダプター、ハードケースなど付き)。モニター無しだと70000円です。
弊社でも扱っている米国ITT社製の暗視スコープです。
新製品として、一眼レフカメラや8ミリビデオカメラにマウント経由で装着できる、小型暗視スコープが展示されていました。ただし、第3世代型なので官庁、自衛隊、警察などにしか販売できないそうです。官庁には市町村役場や県庁も含まれます。
代理店の方が、第3世代型の暗視スコープを、農林省に3台納入した実績があると話していました。
ちなみに、米国製暗視スコープの国外輸出に関して、米国合衆国政府は軍需籐製品として厳しく管理しています。グレードが3段階あり、民生用は第1世代で、第2世代と第3世代は官庁、自衛隊、警察等への販売しか許可されません。たぶん、大学の研究期間にも許可が下りると思います。
ITT社の暗視スコープは、米国軍に正式採用され高い実績があります。今回の展示会で初めて知ったのですが、一個一個手作りの部品があり、同じものを作ることが困難だそうです。よって、精度に高低が生じていしまい、グレードの高い製品が軍用などに回されるそうです。といっても、ロシア製や他社の暗視スコープと比較して、ITT製暗視スコープは民生用でもかなり高いレベルにあります。
Night Enforcer Pocketscope 6101 (Generation 3)
一眼レフカメラ、8ミリビデオカメラ装着可能
オプション
・カムコーダーマウントキット
・VLビデオ/CCDカメラアダプターキット
・キャノン(EOS)ビデオアダプターキット
Night Enforcer 190 (Generation 3)
一眼レフカメラ、8ミリビデオカメラ装着可能
テレビカメラで写したモニター画面上に、マウスをつかってセンサーマーク(センサーエリア/小さい四角いドット)を表示します。そのマーク(エリア)内に移動物(人や動物、物)が触れる(侵入、通過)と自動的に警報が鳴るシステム。また、侵入者の移動経路も表示します。テレビカメラは常時電源を入れておく必要があります。同メーカーが販売している昼夜兼用監視カメラ/スーパーアイを利用すれば、夜間での使用も可能です。映像をビデオデッキに接続し、マーク(エリア)内に移動物が侵入したときに、連動して自動的に録画することも可能です。
カメラを高い位置に設置すれば、広いエリアがカバーできます。
カメラをフォーカスすれば、対象地域から離れていてもセンサーマークを設置できます。
クマの被害対策や、出没時の自動撮影にも利用できそうです。
・センサーシステム 380,000円
10.[WWW用映像発信システム、遠隔モニタリングシステム]
キャノンが独自のリモコンビデオカメラとインターネットやイントラネット、PHSモデムなどを利用した、ライブ映像発信とモニタリングシステムに力を入れていました。
国内各地や国外に設置しているリモコンビデオカメラの映像を、キャノンのホームページから操作することができます。まずはお試しください。このシステムを使えば、各地に設置したリモコンビデオカメラからの映像を研究室のモニターに映し、定点観察やモニタリングが可能になります。
また、クマの進入路が確定されている地点に設置すれば、出没の警戒にも利用できます。
さらに、クマの出産のライブ映像を遠隔地で観察、ビデオ撮影することも可能になります。
http://www.x-zone.canon.co.jp/WebView/
生まれて初めて防弾チョッキを着せてもらいました。米国製ですが、日本では初公開という新製品で、思っていたほどかさばらず、重たくありませんでした。クマに襲われると顔や頭を狙われやすいと、輸入代理店の方に相談したら、特殊な繊維でできているので、例えば同じ材質のヘルメットのようなものも作れるそうです。
米国には犬用に防弾チョッキも特注で作られており、警察犬や麻薬取り締まり犬が着用しているそうです。